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日高 昭秀
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 332, p.1607 - 1623, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故時に初めて放出されたタイプA Cs含有微粒子(以下、タイプA)の生成機構について、これまで様々な生成機構説が議論されてきた。筆者は、3号機の非常用ガス処理系(SGTS)のHEPAフィルタが水素爆発時に溶融して微粒化したことにより生成したと考えた。しかし、その仮説は、熱水力と大気拡散及びその学際領域にも及んで複雑であり、まだ推論が多く含まれている。このため、今後は様々な専門家による検証や、タイプA生成に関する再現試験が必要と考えた。さらに、もし仮説が正しいとした場合、HEPAフィルタは安全上重要な機器であり、水素爆発防止対策やHEPAフィルタの設計等にも影響するかもしれないと考え始めていた。そこで、これらの検討を進めるため、タイプAの生成機構に関して、総合的に解説したレビューが必要との結論に至った。本稿では、筆者がこれまでに執筆した論文等に基づき、仮説の根拠、検証及びその仮説が正しいとした時に実際に何が起こったと考えられるか、今後の課題、原子力安全性の更なる向上の観点からの提言について述べる。